たった三つの言葉で幸せにー医学と医療の周辺

たった三つの言葉をいつも使うだけで幸せを感じて生きることができます。笑顔で三つの言葉を使いましょう。

先ず自分の幸せのために、そして相手の幸せのために、

たった三つの言葉をいつも使いましょう。

1.こんにちは!今日はじめて会った相手には笑顔で「こんにちは!

2.そしていつも笑顔で「ありがとう!」を用意しよう。

3.そして絶えず笑顔で「ごめんなさい」「すみません」を用意しよう。

たったこの三つの言葉を絶えず使うことで相乗効果がどんどん生まれ、幸せの良循環ができます。

笑顔の「こんにちは」の一言でよい人間関係の出発点ができます。これからの人間関係のスムースな運びの舞台作りが出来ます。信頼関係を樹立する出発点です。言われた相手は決して悪い感じはしないでしょう。あるいは今までのわだかまった人間関係が修復される可能性があります。

笑顔で「ありがとう」は自分を芯から幸せな気持ちにさせます。感謝の気持ちを持つと自然と笑顔が生まれます。どうしてかそのメカニズムははっきり解りませんが、現象学的なエビデンスはあります。

笑顔で「すみません」は自分の足らなさを相手に謝することで相手は寛容となり自分を受け入れてくれます。

はじめに言葉ありき。人間は言葉の動物です。言葉一つで自らの幸せを築くことが出来ればなんと簡単なことでしょう。

「こんにちは」は「おはよう」でも「こんばんは」でも時間にあわせればいいんです。この言葉が自分の幸せの出発点です。

アメリカには、Hi(ハーイ!)という挨拶言葉があります。道などでただなんとなくすれあった人同士が交わす挨拶言葉です。笑顔でHi!と声かけられるとこちらも笑顔でHi!と答えざるを得ません。アメリカ社会の歴史にも由来しますが、これはなかなかいい習慣だと思います。また、この社会では歴史的に自分を守るために身についた習慣でもあります。

また、「こんにちは」には他の人々へのよい副的作用があります。この言葉には周囲に明るい雰囲気を醸し出します。英語のHello!やHi!もそうですが、日本語の「こんにちは」には独特の人間的親しみと温かさがあります。勿論、時間によっては「おはようございます」でも「こんばんは」でもいいのですが、「こんにちは」はいつでも使える便利さがあります。もっとも、花柳界や水商売の仲間同士では夜でも初めて会うときは、「おはようございます」というような習慣がありますが。

「ありがとう」はなんと響きのいい言葉でしょう。その言葉の相手だけではなく、自分と関わる全ての人々に感謝し、周囲の動物たち、植物たち、諸々の自然に感謝をするとき、不思議なことにおのずと幸福感が生まれてきます。

「ありがとう」はある特定のあるいは不特定多数の相手に対して使うことが大半ですが、その言葉には自分の相手(パートナー)を生んでくださった両親、尊敬する師や先輩、友人、にも広がりを見せます。翻って、自分をこの世に生んでくださった両親、その両親を生み育てた祖父母への感謝とつながります。厳しく叱ってくれた両親や師、異なる意見で激論を交わした友人、見知らぬ人から親切な行為を受けたことへの感謝の気持ちを持ち続けることができると、なんと幸せな気分になれることでしょう。自分を育んでくれた自然、動物たち、草木にさえ感謝の気持ちを持つことができる人はなんと幸せな人でしょう。

「すみません」、「ごめんなさい」という言葉を冒頭に、あるいは言葉の最後に付け加えると、言いたい要件の内容が相手によく伝わることがあります。相手の多忙な瞬間でも、悲しみの瞬間にも何気ないこの言葉が相手の気持ちを和ませるでしょう。そして要件がスムースに進むでしょう。

人は誰でも欠点を持ち、間違いを犯し、相手の心を知らず知らずに傷つけているものです。それを修復し合うことが出来るのが人の叡智だと思います。人は動物の中で最も繊細な感情を持つ動物だと言われています。ときには憎み合うこともあるでしょう。しかし、人の叡智はそれに打ち勝つ高等な大脳皮質を持っています。その憎んでいた自分の心を陳謝し深謝することに昇華する能力を持っているのです。

それは人種の違い、宗教の違い、国の違い、職業の違いを超えて発揮できる能力をヒトは持っています。ヒトの脳力です。現状はそれがまだ十分に発揮されていないだけです。いずれはその能力が発揮されるでしょう。UNはその第1歩だと思います。

三つの言葉に添えて、笑顔を作ることが出来ると自分の気持ちが和みますし、相手の気持ちも和みます。

笑顔が生まれないときは敢えて笑顔をつくると脳幹と大脳辺縁系を刺激して幸せな気分になります。すなわち、笑顔を顔面表情筋で作ることによって、その刺激がフィードバックして脳幹を介して感情の中枢である大脳辺縁系の幸福感の中枢を刺激するのです。これはある程度訓練が必要ですがすぐに習得できるようです(12)、またそのヒトの仕事の生産性を高めるようです(3)。

例えば、お父さんお母さん、私を生んでくれてありがとう、こんな私でごめんなさい、と笑顔で口に出していってみてください。厳しい言葉で叱ってくれてありがとう、と言ってみてください。幸せな気持ちになります。裏切られたと思った友達に、こんな私でごめんなさいね、と勇気を出して言ってみてください。相手はもうあなたを裏切ることはないでしょう。

医療の現状でも全く同じことが言えます。医療は医学と違い不完全です。不完全だからいろいろと問題が起こります。手技の未熟さやミスは医学では起こりませんが、医療では起こることです。しかし、何といっても多いのが人間関係のトラブルです。それは人と人とのつながり、つまり信頼関係が重要だからです。患者と医師感、医療スタッフ間、医師と医師間、などです。

患者が医師を信頼し感謝の気持ちを表すと、病気は良い方向に向かいます。医師が患者に自分の技術の未熟さを絶えず陳謝する気持ちを失わなければ患者の病気は改善されます。このことにも医学的エビデンスがあるのです。

最近、うつ病あるいはうつ状態の患者が増えています。医療スタッフの中にもうつ状態の方がたびたび見られるようになりました。我が国の医療システムの問題、現代の人間関係の複雑さなど、病態が幾重にも重なった状態にも原因があります。だからこそここで敢えてこの三つの言葉を笑顔で送ります。(20120504.)

(文献)

1.Mühlberger A, Wieser MJ, Gerdes AB, Frey MC, Weyers P, Pauli PStop looking angry and smile, please: start and stop of the very same facial expression differentially activate threat- and reward-related brain networks. Soc Cogn Affect Neurosci. 2011 ;6:321-9

2.Gilbert DThe science behind the smile. Interview by Gardiner Morse. Harv Bus Rev. 2012 ;90:84-8

3.Schulte P, Vainio HWell-being at work–overview and perspective.Scand J Work Environ Health. 2010 ;36:422-9.

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